残念ながら所有者さまのご都合で解体されてしまうこの住宅の最後の姿を特別に見せていただきました。
外から一見するとよくある昔のしっかり作られた和風住宅のようですが、
そこは哲学する建築家と呼ばれる白井晟一のこと、他とな違う何かが、
そこかしこに確かに存在していました。
この住宅にも鋼板でカバーされた外壁の化粧柱にも見て取れました。
また、床の低さも特徴ですが、表面的には見て取れない床下の工夫が伺い知れます。
仕上げ的には、壁、天井は贅沢にも本物のクロス(布)を張ってありました。
現在ではビニールクロスがよく使われますが、元はと言えばクロスとは本当に
布を張ったものだったのだと改めて感じました。しかもこの住宅ではコール天
(あえてコーデュロイという呼び名でなく)を張っています。
経済の論理としては仕方ないですが、著名な建築家の残した作品がまた一つ消えていくのは寂しい思いです。