3.29.2019

小笠原伯爵邸

今日はお出かけの話です。
先日、ふたりの記念日にかこつけて新宿区にある小笠原伯爵邸に行きました。

設計は日本の建築の礎を作ったジョサイア・コンドルの弟子の曽禰達蔵。戦後長い間放置されて、朽ちていた建物を今世紀に入って改修し、スペイン様式の建物にあわせてスペインレストランとして営業しています。



入り口から様々なモチーフで細工がされていて、もう期待が膨らみます。




レストランの利用者は希望すればスタッフによる説明付きの内部の建築見学が出来ました。

こちらは伯爵たちが食事後に利用したシガールーム。当時は女子禁制。この部屋だけはイスラム様式が施されて複雑な細工で見入ってしまいます。

お祈りができるようにメッカの方向に印がありました。




こちらはシガールームを外部から見た所。

可愛らしいタイルが貼ってあります(こちらも復元)。


下の方には建築家の銘板が貼られています。普通はこのような記名はされないとのことですが、よっぽどの自信作であったと思われます。







小笠原伯爵は酉年生まれとあり、鳥のモチーフが多く使用されています。なにか人柄を感じるものには勝手に親しみを感じますね。





食事はというと、ミシュランの星付きとあり、それは美味しかったです。また違う季節に来ようと約束しました。





ガーデンは、古木オリーブを中心とした地中海沿岸地域の植栽で、人気のウェディング会場だけにとても絵になる場所でした。



どこまで伸びるのか、イトスギよ。




桜かなと思いきや、アーモンドの花が咲いていました。意外性!



ちょうど春の芽吹きの時期。




広々とした屋上のキッチンガーデン。ブラックベリーなどのベリーの蔓の誘引方法、これなら場所も取らず収穫しやすそう。








など、参考になることもあって、目も心も満たされました。


【今日のおまけ1】

うちの猫伯爵は、桜が咲く季節になったのにいまだ電気毛布が手放せません。
まだ肌寒いからね。
桜も咲いたものの戸惑ってる感じがします。今週末は花冷えになりそうです。



【今日のおまけ2】

ようやくipad とApple Pencilを導入しました。
進行中のプロジェクトをスケッチをしながら習得中。楽しいです!


3.05.2019

「秘密の花園」と「ヴィオラ母さん」

大人になってから同じ本を読んで違う印象を受けることがあります。
私にとって、最近読み返した古典童話の「秘密の花園」もそのひとつでした。


「秘密の花園」は、ロマンティックでガーリーな題名と松田聖子の「秘密の花園」の曲のイメージによって、長らく記憶がスイートなピンク色のイメージでしたが、再読して「あれ?こんなだったけ!」と思い返しました。


物語は、主人公のメリーはインドで両親を亡くしてイギリス・ヨークシャーのおじさんの家に引き取られ、その家には体と心が弱っていた少年がいて、そのふたりが、自然の力を親しみつつ、「育つもの」の成長に手をかけながら、生きる力をつけていく展開です。


物語に出てくる子どもたちがとてもひねくています。わがままに育って悪態つきっぱなし、周りの大人たちを始終辟易させています。彼らが孤独で寂しくて、自分で自分を精一杯守っているからで、それは健気な姿であります。
そうして、自然に触れて、植物が育つ姿に関わりながら、自分たちを縛り付けていたマイナスの思い込みから脱却していきます。


話を読み進めながら、私にはそのふたりが漫画家のヤマザキマリさんやAppleのスティーブ・ジョブズの生い立ちを連想させました。
子どもながら自分のトリセツを得てして、自分自身を形作ってきた突拍子もないほど個性的で魅力的な人たちです。
(ヤマザキマリさんの近著、母リョウコの物語「ヴィオラ母さん」も痛快、最高でした!)


秘密の花園では、春を待ち焦がれる設定になっていて、インドで生まれ育った主人公メリーと、生まれて一度も外に出たことがない病弱な少年は、まだ春を見たこと、感じたことがありません。

春ってなに?どんな匂い?春が来るってどういうこと?という期待と興奮していく様子を、冬のあいだに繰り返し読みながら私も同じ気持ちを重ねて今年の春を待っていました。




チューリップの芽が出てきた!
春の雨で土の中も動き出してきたぞ



黒柳徹子さんと同い年のリョウコさん。
この時代の人は本当に悲しいこととか表に出さなくて、
それでいて、破天荒ながら「生きてるって素晴らしい!」という底力を
教えてくれるのだ。




ああ、春が来た!