先日見てきた、最近リニューアルオープンした美術館の建築メモです。
まず一つは東京都庭園美術館「オットークンツリ展」
アンリ・ラパンによるアールデコ建築の「旧朝香宮邸」を改装した美術館ですが、昨年新館とともにリニューアルオープンしました。
ラリックによる正面扉のガラス装飾。こんなに美しい扉でお客様をお出迎えとはなんという心意気でしょう。
玄関ホールのタイル。他のタイルや内装に共通することですが優しい色使いです。
ガラスの押縁、鋳物製です。こういうところまでこだわって作られています。
入口のカウンターの壁は人造大理石(テラゾー)仕上げ。真鍮の棒が埋め込まれています。触るとスベスベで冷たくて気持ちいい。
こちらは新館全景。
大空間の展示スペースと上映スペースで展示の巾が広がったようです。
天井というか梁というかPC版の造形が美しく、ルイス・カーンによるキンベル美術館の天井をいくつも並べたような造形です。照明のあり方もキンベルの縮小版といった趣。
歪んだ、ガラス板。外装スキンではなく、その内側の装飾パネルとして使用されていました。本当はこのまま外装に使いたかったのでは?
アドバイザーとして参画している杉本博司さんの好みのように思えます。
ガラスが熱いうちに先の尖った棒のようなもので押したような造形で、どのような工程で作ったのが気になります。
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続きまして、市川湖畔美術館「浅葉克己」展
に行きました。
こちらは一昨年リニューアルオープン、バブル期に造られた建物のリニューアルです。
わずか20年足らず、耐用年数的にもまだまだ現役な建物のリニューアルですが、建物のプログラムや運用に問題があったようです。
こちらは展望台からの視点
新たな美術館では、既存の構造のみを残してアートウォールと定義された工事用の矢板を配置して新たな空間を作っています。
また、湖の展望台や湖を望むレストランに無料でアクセスできるようになっていて、9美術館より地域の人々に開かれた美術館を目指しているようです。
今回の展示にからんで設置された卓球台。ラケットとボールを貸し出していて、実際遊べるそうです。ですから二人以上で行くことをおすすめします。
金属の波板がアートウォールと呼ばれる壁。
普通のフェンスに筒状プラスチックを嵌めただけのシンプルなデザイン。
アイディア勝負ですね。
美術館内部より湖を望む
紅葉はまだまだでした。