2.04.2014

「フォスター卿の建築術」


渋谷アップリンクで上映中の「フォスター卿の建築術」を見てきました。

フォスターは「宇宙船地球号」の概念で有名なバックミンスター・フラーに師事した英国を代表する建築家で80年代にいわゆるハイテク建築で有名になりました。




その建築は無機質な印象を与えていますが、映画を見ていくとその印象は変わります。

映画の中でフォスターが「実用的なものがこんなにも美しい」語っていたように、無骨な構造も自然物が持つ優美な動物の骨格に見えてきます。
ひとつの建築が大きな植物のように有機的な存在に見えてくるから不思議です。

日々設計をしていると、やれ法律だ、やれ予算だのの制限で頭のなかが固まってしまいがちですが、
「美しさを失ったらやらないほうがいい」というフォスターの言葉も心に刺さります。

映画には出てきませんが、現在フォスター設計のアップル社の本社社屋が建設中です。
アップルの製品とフォスターの建築、徹底的に合理的美しさを追求する姿勢は通ずるものがあり、
スティーブジョブスが彼の建築に心酔するのも頷けます。

ちなみに、渋谷アップリンクは昔アップリンク・ファクトリーと呼ばれていて普通のビルの一室で上映してました。ワンドリンク制で部屋の端っこの方にバーみたいなのがあって、映画を観終わったあとに駄弁りながらコーヒーを啜ったものです。
他の映画館にはないマニアックな作品を上映しています。
自分は以前見た秩父の夜祭での見世物小屋のドキュメントがいまでも印象に残っています。
移転してからもインディーズ精神みたいなものは失っていないようです。
これからもこのまま突っ走ってほしいな。