12.28.2013

やかんの湯気

今日は阿佐ヶ谷のお客様にご挨拶に伺って、そのあと現場を見にいって、
今年の仕事納めになりました。

一日外にいて底冷えして泣きそうになり、家へ帰って沸かしたやかんの湯気を目にしたら、なんとなく体感よりも先に心が温まりました。この感覚。
私たちが手がける植栽や建物も寒い日のあったかい湯気のようなそのような存在でありたいなと思った年の瀬です。なんのこっちゃでありますが、

今年も大変お世話になりました。

2013年は新生ボスケデザインとして新しいスタートをきりました。ボスケデザインを支えてくださるお客さまや、関係業者のみなさま、家族や友人に支えられ、とても充実した一年でした。

ありがとうございました。

皆さま、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。


☆12月29日~1月5日までお休みいただきます。
☆2014年は1月6日から通常営業


【今日のおまけ】

杉並区の公園になっている「Aさんの庭」に寄りました。トトロの住む家のモデルとなった古き趣きのあるお家とお庭があった場所です。
別名「ばらの家」と呼ばれ地域の方々にとても親しまれたお家とお庭だったそうです。

数年前に火事で建物はなくなってしまいましたが、近隣住民の方々の要望によって再建保存維持されています。
 
 
主が不在となった今では、かつての面影はいまはもうわずかでしょうが、多くの人々の記憶にはずっと宿っているのでしょう。尊いことですね。


 
寒くても元気なコトネアスター。
赤い実がたわわになっていました。

12.24.2013

今年最後の

Rさんのメンテナンスへおじゃましました。
先日お店のスタッフさんが植えた球根が至るところで顔を出していました。
植えた場所を知らないので、ここに植えたんだ!と見つけては、「どうも!どうも!」と嬉しさでにやけながら球根に挨拶。液肥をあげてまるまる太った球根に育ってほしいです!

この季節の寒さは流石に身体に堪えますが、お客さまやなによりもここでいちばん多くの時間を過ごすお店の方々が微笑んでくれたらなにより。


 
冬は葉が落ちて全体的にさみしい印象になりますが、ふだんは葉に隠れて見えない大きな樹の枝ぶりをはっきりと見ることができる時期でもあり、見上げては樹の形の美しさにほれぼれします。写真後方のカツラの樹も同じく。




 
年末まであと一週間。あともうひとがんばりです。
 
 

12.20.2013

【建築】「そば 柿ざわ」回顧録⑥


「そば  柿ざわ」回顧録、最後は⑥外構の植栽です。

設計当初、半分冗談で「柿ざわ」にちなんで「柿の木」を植えようかという案もありましたがいよいよ植栽を決めなければいけなくなった時に店主よりあっさりと却下されました。

店主の希望では「青モミジ」でした。
店主のラグビーのサークル仲間である造園屋さんに形のよいモミジを調達していただきました。
 



残暑の暑いさなかの植え込みでしたので、枯れが気になるところでしたが、店主が朝と夕方に水やりを欠かさずしてくれたことでモミジも苔もしっかり根付きました。冬の今でもに苔が青々としています。





お店の通り沿いには、並びのお店で可愛がられている先住の猫ちゃんが闊歩しています。
猫ちゃんのことも考慮して化粧砂利は大きめのものを選びました。



モダンな印象に仕上げて遊び心で四角の三州瓦をいれました。瓦の中の砂利はたまに猫ちゃんが遊んでいるのか白石と黒石が混ざっていることも・・・。


この先、お店も景色も地元に馴染んで、ご近所に方々に可愛がられるお店になったら設計者としても喜ばしいです。

ちなみに、今年は大みそかまで営業で、年越し蕎麦もご用意しているとのことです(ご予約などの詳しいことはお店までお尋ねください)。


以上、「そば 柿ざわ」回想録を最後までお読みいただきありがとうございました。







【建築】「そば 柿ざわ」回顧録⑤

「そば 柿ざわ」回顧録、更新に間が空いてしまいました。
次の紹介にもすすまなければなりませんので、続けて最後まで。

今回は⑤お店の顔となる「ファサード」についてです。
 
 
 

↓改修前のファサードはこのように。



そして、今回の設計では、外壁はいじれなかったため、装飾として「格子」を取り付けることにしました。建物は元々段状に庇がせり出ており、今回はそれをそのまま利用して、同じく段状に格子を設けています。


照明も庇部分に3箇所ありますが、同じく既存のものを再利用しています。格子の塗装には、内装と同じく「柿渋」を使用。
 
 
 ↑ファサードのディテール。大工さんが苦労して納めてくれました。



お店の看板は無垢板を店主が自らが彫り込んでつくりました。
店主は他にもお店のしつらえをつくったり、達筆なおしながきも店主の手描きで大変器用です。あのいかつい外見からは一見想像もつきませんが(失礼!)、料理のキメ細かさや美味しさに通じるものがあります。
 

12.18.2013

気づいたら年の瀬

気づいたらあっという間に「よいお年を」と言われる時期になっていました。
 
 
かわいいピンク色の枝
ロドレイア(シャクナゲモドキ)
 
クレマチスのアーマンディー。
どのくらい大きくなりますか?と生産者さんに訊ねたら、そーいえば、あそこにあったっけ?と見せてくれたのがこちら。植えて10年近く経っているそうで、

 
想像を超えるたくましさ!
 

12.01.2013

December 2013










 
 






11.28.2013

【ガーデン】 極小輪のビオラ

小さい鉢は水やりも頻繁にしなくてはならないし、小さい花は花柄摘みが大変だからな~と思うこともありますが、やっぱりこの愛らしさには勝てません。勝てないというよりひれ伏します。

極小輪のビオラを小さな鉢で単種で植えてみました。
目線の高さで花も愛でられ、花柄摘みも労がなくなるかも。




テーブルの上や窓辺など目線の高さに花があると、見る楽しみだけでなく作業も楽になるはず。
と今年はそんな期待をこめてこの冬の楽しみをお届けする準備をしています。
植物は生き物だからお届けした後に枯れてしまうこともあります。いろんな事情がありますし、私自身も多忙時期が続いたり、疲れたり、怠けたりしていると結構ダメにしてしまいます。

手渡した後はその方のものになりますが、それでも枯れてしまった姿を見たりするとなんともやるせない気持ちになったりします。やっぱりちょっとしょげます。
ですので、お届け先の置き場所やご都合などを考えながらできるだけもちのよい種類や方法を考えます。


見元園芸さんのビオラ  
微妙な色合い♡ 

 
ビオラ ' フルーレット' 
ひと花ごとに花色のグラデーションが違って個体差がありおもしろい
 

白いガーデンシクラメンと比べてみても、ビオラの花の小ささがわかりますか?
下のプミラも極小プミラです。






 

小さい花つながりで、

こちらの千日小坊という名のお花、渋いかな~と思いきや、どこにもっていっても評判がよいです。
売り始めの秋の始まりよりもちょうど寒さを感じる今頃が見ていて暖かさをかんじるようです。
ただし半耐寒性の性質なので見頃もあと少しでしょうか。寒くなったら移動ですね。




そろそろ秋も終わり。
毎度のことながら季節の終わりかけになって、あれも見たかった、これも植えたかった、と反省や後悔がつぎつぎとでてきます。園芸には計画性が不可欠ですね。(←一番苦手だったりする)


「何事も計画性よ~!」

 



【建築】「そば 柿ざわ」回顧録④



「そば  柿ざわ」回顧録今回はディスプレイスペースである「床(とこ)」のしつらえです。
こちらのスペースは蕎麦屋さんの営業的にはいわば不要なスペースです。
 客席を2つ設けようとすれば設けられますがあえて床を設置しました。
 

白砂利を敷き、黒竹で飾りました。黒竹は店主の故郷から調達してきました。
 
切り株のようなものは、店主の祖母の家に古くからある木の切り株でできた「囲炉裏」で お祖母さんから、開店に際してぜひ置いて欲しいと寄贈されたそうです。

 
切り株のなかに神様が宿っているような不思議な囲炉裏です。


お店の守り神のように鎮座しています
 
 


11.24.2013

【ガーデン】『ターナー展』 ターナーの光と色彩

上野の東京都美術館で開催中の「ターナー展」のイベントに行ってきました。

結城昌子さん(アートディレクター、エッセイスト)と鈴木芳雄さん(元BRUTUS副編集長、美術ジャーナリスト)の「ターナー展」スペシャルトークもありました。

ターナー(1775-1851)はイギリスを代表する風景画家として、ロンドンのテートギャラリーに作品の多くがコレクションされていますが、本展覧会はターナーの10代から70代までの作品が一堂に見られる回顧展です。

結城さんは、「これまで絵に会いにいくために(海外へ)旅していたけれども、最近は『絵』が旅してくれて会いにきてくれている」と言っていましたが、最近の展覧会を見渡してもまさにその通り!で、こんなによいことはないな、と思います。


ターナー晩年の作品のひとつ

『湖に沈む夕陽』 1840-45年頃

  
ターナーは光と大気を描く画家であり、生涯その色彩や雰囲気の表現方法を追求しました。

そして風景画家といわれていますが、写実的に風景を描くのではなく、より高尚なレベルの描き方として風景を描くべく、「ピクチャレスク」(絵画的な)な風景、すなわち「絵になる風景」を描くためにたえずその表現方法や技法を発展させていきました。

それはそのままの風景ではなく、どういうふうに見せたいか、どういうふうに見えたのか、という独自の風景を描くのです。Be Original な人でした。
その描写は時には絶賛され、また、時には批判され、パトロンや世間から見放されてもそれでも信念を曲げずに戦ったターナー。若くから成功を収めた画家であっても、生涯にわたって革命的でありました。


ターナー20代初期の作品
『バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨』 1798年


刻々とかわる天候と光を描いた




 
風景を独自の視点で切り取る、形づくるという点において、庭づくりに通じるところがあります。

19世紀終わりから20世紀初頭にかけて活躍したイギリスの園芸家、ガートルード・ジーキル(Gertrude Jekyll (1843-1932))もターナーの色彩や絵に大いなる影響を受けたひとりです。

ジーキルの伝記(by Sally Festing)
どんな人柄だったのでしょう。
かっこいいポーズだ
 

ジーキルは、花壇や植栽に色彩の重要性を主張して、カラースキーム(色彩設計)という独自の方法論を発展させて、ガーデンは絵画や詩とならぶ芸術のひとつであると20世紀イギリスの園芸に新しい潮流を生んだ、まさに「植物で絵を描いた」人です。

ジーキルはターナーの一番の賛美者であり、ターナーの評価を世に知らしめた美術批評家ジョン・ラスキンの思想に影響を受けて美術を学びました。ラスキンが収集したターナーの絵を模写して、色彩やその効果を習得して理解を深めていったとのことです。

ジーキルは、一枚の絵となるような庭をつくることを求めていましたが、そのためには「植物の特性を知ること」がなにより大事と唱えています。


現在の日本では、「プランナー」「デザイナー」「造園家」「ガーデナー」と様々なアプローチから庭づくりに携わる職業がありますが、私はどちらかというと「ガーデナー」にバックボーンにもつガーデンデザイナーとして、ジーキルの歩んだ延長線上にいるのだとおもうと、時を超えて共感することがあります。

たとえば、草花に囲まれた空間のなかで早朝や夕暮れ時に、絵になるような一瞬があります。その『決定的瞬間』は写真や言葉には置き換えられず、その場の空気感や温度、空や光の間にたたずまないと得られない体感的な瞬間です。

そうした瞬間は、庭だけでなく、森や林、または海中の自然の静寂のなかに身を置いた時に同じような瞬間が訪れることがあるだろうと思われますが、ジーキルは庭づくりのなかでそうした瞬間にターナーの色彩を感じたのだろうと思います。

ターナーの描く光は、瞼の裏に焼きつくくらいのまばゆさがあります。

ターナーの描く空気は、観る者の気分を動かすほどのエネルギーと画力があります。


圧倒的な光の描写
「レグルス」1828年

絵画をただの教養のひとつとして観るのはつまらないことです。たしかにターナーの描くモチーフは、時代的にも地理的にも日本育ちの私には馴染みのないものばかりで親近感はないけれども、それでも圧倒的な力や美しさをみせつけられます。だからこそ、時を越えて今でも人の心をゆさぶるものがあるのでしょう。


 
ターナーのスケッチブック
よく残っているよな~

 
展覧会の駅ポスターで見た(以下の)キャッチコピーにもあるように、ターナーは、とても風変わりで、秘密主義の人だったそうです。
 
『天才気取り、口べタ、変わり者。しかし描く風景を讃えずにはいられない。』
 
 
このコピーを考えた鈴木さんは、トークショーにて今回の展覧会用に考えたコピーの一覧を披露してくださいました。以下のコピーは結果としてボツになってしまった案だそうですが、ターナーを言い当てていて、いいなあと思いました。
 
『大陸(ヨーロッパ)に渡った画家(ターナー)が最初に行ったのは美術館(ルーブル)ではなく山(アルプス)でした。』


『ルネサンスの画家に学びました。印象派の画家が学びました。』

ブロガーイベントというトークショー

 

最後、今回一番印象に残った絵は

意外にもこちらでした。


「平和-水葬」1842年
友人の水葬を蒸気船の帆のシルエットにて象徴的に描いている。
発表当時の評価は散々で「黒すぎる」という批判に対して、
ターナーは「もっと黒く描きたかった」と反論したそうだ。
 

画面下の水面には黒いカモが飛んでいて
ターナー自身を投影しているようだ

 
なんでだろう、と思うけれどどうしても忘れられない。

まちがいなく、心のなかにターナーのなにかが宿りました。



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「ターナー展」公式サイト  http://www.turner2013-14.jp/

会期:2013年10月8日(火)-12月18日(水)
会場:東京都美術館    http://www.tobikan.jp/
開室時間:9:30~17:30 (金曜日は20:00) 、入室は閉室の30分前まで
休室日:月曜日 (ただし12月16日は開室)
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、テート美術館、朝日新聞社、TBS
特別協力:ブリティッシュ・カウンシル


その後の巡回 ⇒  神戸市立博物館 (2014年1月11日~4月6日)

11.20.2013

【建築】「そば 柿ざわ」回顧録③

本日は「そば  柿ざわ」回顧録の3回目。
今回のお題は「壁紙」です。
 
「そば 柿ざわ」のメインの客席には大きな吹き抜けがあります。その吹き抜けの大きな壁面をどう見せるかで設計当初から悩んでいました。
 


当初はあるメーカーの特殊ペイントを使用する予定でしたが、施工の問題や予算などの事情で予定を変更し、トミタの壁紙に変更しました。
カウンター選びに続いて、店主と一緒にショールームに見に行って選びました。選んだ壁紙は天然和紙のシリーズで雲母(きらら)が練り込んであり、光の当て方により少しキラキラ光り、微妙な表情を見せます。
 
 
メインの壁には蕎麦殻をイメージにした緑系の色、ディスプレイスペースである「床(とこ)」には金色の壁紙を使用しました。
 



間接照明で浮かび上がる壁の表情を味わってください。

床のしつらえ
今は季節の模様替えとなっているそうです。


金色の壁紙

ちなみに、この春から半年ちかく外食は蕎麦屋ばかりとなり、相当な数のお蕎麦屋さんを巡りました。
店主はさずが目のつけどころが違って、一緒に食べにいって話を聞くだけでずいぶんと勉強になりました。
 
(蕎麦続きでも体重は減らなかったな・・・。)

11.18.2013

【建築】「そば 柿ざわ」回顧録②

「そば  柿ざわ」回顧録の2回目(このシリーズは全6回の予定です。)

今回はカウンターと個室の天板です。
 



 
店主より当初から天板には無垢材の一枚物の板を使って欲しいとの注文がありました。

工務店の見積では仮に値段を入れておいてもらいましたが、ここはやはりこだわりなので、店主と一緒に木場の製材屋さんまで材料を吟味しに行きました。そこで見つけたのが、今回使用した「アフリカンチェリー」です。
 
 
 

 
値段的にも手頃で色合いも良いのが決め手でした。ブビンガという木材に近い木材ですが、色味が控えめです。
 
 







客席カウンターの天板は長さが5m以上ありましたので搬入も大変でした。
施工者、設計者、施主全員で商店街の中を歩いて運びましたが、ビフォー・アフターの制作だったらさぞ一番絵になる風景だったと思います。





カウンターには間接照明をつけて、さらに吹き抜けの空間を上下半分に区切って「親密な空間」を作っています。

開店してからはカップルのお客さまが良い雰囲気でお食事をしたり飲んだりしています。
 
 



11.16.2013

【建築】「そば 柿ざわ」回顧録 ①

「そば  柿ざわ」回顧録①をお送りします。

まずは前室です。図は施工時に大工さんに渡した説明用のスケッチです。
お施主さんとの空間把握用にスケッチを起こすこともありますが、今回は現場の大工さん用に
再度スケッチを起こしました。現場ではスケッチがあるとやはりわかりやすいとのこと。


さて、設計プランですが、既存(今回は内装のリフォーム)の自動ドアの内側に木戸を設置しています。自動ドアは真夏、真冬以外は開け放って使用します。
大変奥行きの長い建物で、排気等の関係でどうしても奥に厨房、客席を設置せざるを得ず、結果として長い通路が発生しました。そこで、冗長になりがちな通路を半分くらいのところを木戸で分けることによって「半屋外の通路(路地)」「屋内の通路」を作り出しました。

この路地は一種の緩衝空間として、「非日常」の食事の席へと誘う通路として、また待合にも使えます。
店主からの要望「質を高く、少しだけ敷居を高く」を具体化したつもりです。
通路の床はコンクリート洗い出しで玉砂利が露出しています。
左側の空間は、蕎麦の打ち場です。板張りにして通路に面する住居のような雰囲気を作っています。




板には「柿渋」という古来の木材保護塗料を塗っています。「柿ざわ」から来る洒落でもありますが、自然塗料のため臭いも少なく蕎麦の味も損なわないので使用しました。
カウンターにはダウンライトを設置して小物を置いています。これも長い通路を飽きさせない工夫です。



先日日曜日のランチに訪れたのですが、路地に待合のお客さんがひっきりなしでした。
その光景を見て嬉しい限りです。